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黒部市民病院の取り組み
■ 同好会からスタートした院内のIT化


黒部市民病院の院内LANは、1993年という非常に早い時期から、有志の医師5人が集まって始めたという。周囲に声をかけて初期メンバーを集めた沖春海副院長(写真左)は、当時のLANはまさに「同好会」だったと話す。
「最初は図書室にパソコンを並べて、ピアツーピアでやっていたんですが、これではどうも面白くないんですね(笑)。そこで、パソコンショップから回線ケーブルを買ってきて、天井をはわせたりして、手作りでネットワーク環境を作りました。最初のネットワークOSはNetWareでしたが、5ユーザーで30万円もした。非常に高価だったんですが、これならMacintoshの人もネットワークに入れる。5ユーザーだから、まず有志5人でスタートしたんですよ」
当初は、医局の中だけでレーザープリンターやファイルを共有して、便利に使っていた。やがて1995年になると、Windows95が発売され、インターネットのブームがやってくる。黒部市民病院の医師の中でも、インターネットやネットワークに対する関心が徐々に高まりつつあった。沖氏による孤軍奮闘の日々が続くなか、有志の人数も増え始めた。
「その時に、当時の事務長さんが『先生も、ずいぶん苦労しておられるようだから・・・』と言ってくれまして、医局にLANを張っていただいたんです」(沖副院長)
ネットワーク化による経費節減が建前だったが、沖氏の熱意にほだされてというのが、予算獲得の実情だったようだ。こうして突破口が開かれ、まずは医局内が正式の回線でネットワーク化された。ついでライセンスの発生しないフリーソフトのLinuxを沖副院長手作りのパソコンにインストールして、低予算でWebサーバー、Mailサーバーを構築した。現在も兼任している脳神経外科の部長という要職をつとめながらのネットワーク導入は「ネットワークというまだ人のあまりやっていないことがやりたい」という遊び心が原動力だったという。
99年頃になると、中央省庁などでもOA化(IT化)が叫ばれて、市立の病院でもパソコン関連の予算が取りやすくなっていく。99年3月には、院長のゴーが出て、OCNエコノミーを導入。医局からの要望が強かったインターネットへの常時接続が実現した。
「インターネットと電子メールがタダで常時利用できるとなると、私も、私もという感じで、一気にネットワークが広がったんです。そこで基幹システムのお守りをしていた荻野君に、管理者をお願いすることにしました」(沖副院長)
現在も基幹システム、院内LAN双方のシステム管理を担当する荻野仁総務課主任(写真右)は、99年以後も「一番苦労したのはインフラを広げること」だという。医局に続いて事務局へ、さらに技師のいる中央診療部門(臨床検査科、薬剤科、中央放射線科等)へ、病棟部門へ、外来部門へと院内LANは広がってきた。苦労してこれを地道に推進してきたのが、沖副院長と荻野主任だったのである。その2人が99年から手がけ始め、やがて院内LAN利用の推進力になったのがグループウエアだった。
沖副院長は、パソコンばかりでなく、フリーソフトのカスタマイズにも古くから手を染めてきた。ただ、ユーザーが増えるにつれて、フリーソフトだけでは限界があることもわかってきた。
「本当にしっかりしたスケジュールの共有とか、情報の共有とかをしようとすると、フリーソフトではやはり難しいんですよ。有料のグループウエアも大手をいくつか検討しました。カスタマイズする技量があれば、いろんなことがやれると聞いていますが、何しろ値段が高すぎる。動作もけっこう重いと聞いていますし、これはダメだと。では何があるかと思っている時に、行きつけのパソコンショップから、サイボウズを紹介されました。けっこう評判がいいし、試用版があるから使ってみますかと言うんですね。使ってみたら、軽くて使いやすい。管理も特別のことは要らないし、院内でも評判が良かった」(沖副院長)
こうして、 サイボウズ Office パック 2 を購入したのは99年のことだった。
ただし、当時は事務局がグループウエアの利用を完全に理解したうえでの購入ではなく、医局で使うのなら程度の認識で50ユーザー版の購入を許可した。事実、「同好会」以来の有志が使う程度という状態だった。
沖副院長などが、ことあるごとにネットワークとグループウエアの使い勝手の良さをPRして、徐々に院内の認識を広げていったのだ。
「いまでこそ本庁(市役所)に行くと、パソコンも1人1台になりましたが、当時は出先の市民病院が何に使うのかという感じでした。それでも少しずつパソコン端末を購入して、回線を引いて、中央放射線科とか薬剤科とかも1部署1台の環境になっていった。さらに2001年の3月になってやっと、病棟と外来にもパソコンが行き渡りました。といっても、外来の場合は、外来看護師用の休憩室に2台設置して、それを休憩の合間にみんなで見るという形なんです」(荻野主任)
いささか中途半端な部分は残ったものの、一応は院内全体に情報系のネットワークが張り巡らされたため、院長も病院の公式な伝達ツールとして認め、積極的に使うようにというトップダウンの号令をかけてくれた。これと同時に、サイボウズ Officeも、ようやく公式に認可されたのである。
サイボウズが院内全体で使われるようになったとはいえ、荻野主任は、特別な教育は一切しなかったという。日々の仕事に追われる病院業務の中では、たとえ紙のマニュアルを作って配布したとしても、誰も読んでくれないのが目に見えていた。使い方の規則を作るというより、とにかく無理矢理にでも実際に使ってもらって、その試行錯誤の中から、必要があればその都度教えていくという形で浸透をはかるのが当初からの方針だった。
「最近は、近県の病院からもサイボウズの視察に見える方が多いんですが、その時に必ず出る質問が、管理はどうしているか、どういう管理運営規則を作っているかなんです。そのたびに、特別な管理はしてない、管理運営規則なんか作ると逆に普及しなくなりますよと答えています」(荻野主任)
仕事柄もあって、何の教育もしなくてもすぐ使うようになったのは医師や技師、薬剤師たちだった。また、いち早く熱心に使うようになったのが、予想に反して看護師たちだったという。病院の各外来や病棟など現場全体に分散して勤務する看護師たちは、黒部市民病院の場合は総勢約300人に達する。全職員の約半数を占めているため、看護師の中に浸透するかどうかが、病院全体にサイボウズが浸透するかどうかの鍵になると見られていた。荻野主任も導入前は心配していたのだが、結果的にそれは杞憂に終わったのである。看護師の組織は、婦長や現場主任の権限が絶対のピラミッド構造になっている。日々の看護には、厳しい規律が欠かせないからだ。ピラミッドの頂点にいる婦長が「見ないと重要な情報を見逃しますよ」と号令をかけてくれたため、看護師は誰もが一応は『掲示板』を見るようになった。そればかりでなく、その部署のイベントを『スケジュール』に入力したり、『Webメール』のやりとりなどにも積極的に取り組むようになっていったという。

「うちの看護師さんは、パソコンがあまり上手ではない人が多いと思うんですが、サイボウズに関しては非常にスンナリと入ってきましたね。オンラインのマニュアルなどを読まなくても、何となくクリックしていたら使えるようになっていく。そういう使い勝手のシンプルなところが、まさに的中しているという印象です。何しろ、何かの拍子にアイコンが小さくなっただけで迷うというレベルですから、いくら婦長が号令をかけても、サイボウズくらい使いやすいツールでないと普及しなかったと思いますよ」(荻野主任)
現場のスキルが上がってきたことを証明する出来事もあった。
「ちょっと上手になった看護師さんは、パワーポイントで作った何メガもあるファイルをメールで飛ばしたりするんです(笑)。3メガ、5メガもあるファイルは、フロッピーに落とせませんから、じゃあメールで送ろうという発想になるんですね。少し前までは、回線の容量も低かったし、サーバーのスペックも小さかったので管理者には困った使い方なんですが、そういう工夫をして使ってくれているのがよくわかったので、逆にとても嬉しい出来事でした」(荻野主任)
こうした一種のトラブルは、荻野主任が職員を啓蒙するチャンスでもある。その都度、荻野主任が現場でレクチャーすることで、ごく自然に現場の利用レベルも上がっていくのだ。ただこの話を聞いてちょっと驚いたのは、現場の看護師の間に、サイボウズだけではなくパワーポイントまで普及していることだった。これは実は、沖副院長のPRの成果なのである。

「うちの病院では、各部署が持ち回りで院内向けの研究発表をする会が、定期的に開催されています。以前はみんながOHP(Overhead Projector)を使って発表をしていました。そこで僕の番が来た時には、PRを意識してカラー液晶プロジェクターとパワーポイントを使い、パソコンから直接スクリーンに投射する形で発表したんです。動画とかでインパクトのある画面を作って、以前ならスライドを切り替えてと言うところを、『はいクリックして』とか言って、笑いも取りましたよ(笑)。そうしたら非常に評判が良くて、院長がこれはいい、すぐにプロジェクターを買えと言ってくれた。以来、院内の発表はすべてパワーポイントになったんです」(沖副院長)
看護師の研究発表も年に2回あるので、現場の看護師たち、否応なくパワーポイントの勉強をするようになったのである。もちろん、経費節減のメリットも大きかった。いちいちスライドに焼いて投射していた時代からすると、研究発表にかかる手間も経費も大幅に節減されたという。
事務の省力化と経費節減という意味で、最も大きく貢献しているサイボウズのアプリケーションは『掲示板』である。黒部市民病院には、クリニカルパス、リスク管理、院内感染などのテーマ別に、20種類以上の委員会が活発に活動している。各委員会には医師を始め各種の技師、事務局スタッフ、看護師までが職場横断的に集められて委員として参加しているから、従来はその開催日と場所の連絡だけでも大変な手間がかかっていた。委員会の開催ごとに、すべての委員に対して紙の開催案内を配らなければならない。必要に応じて、資料も人数分作らなければならないし、開催後はその議事録をまたパソコンで打って、紙で刷りだして保存する作業も必須だった。
「みなさん、パソコンで打った書類を刷りだして配る。それを見て、またもう一度パソコンに打つ。それをまた紙に刷りだして保存するという作業をやっていたわけです。医師はムダなことが嫌いですから、フロッピーではダメなのかと言っていたんですが、事務局が紙になっていないと承知しない。業務プロセスから言うとムダなことをいっぱいしていたわけですね」(沖副院長)
現在は、委員会の開催案内はすべて『掲示板』で告知され、資料も『掲示板』の添付ファイルで配布されるようになった。さらに、議事録も『掲示板』に添付されるため、ノートパソコンを駆使する医師などは、まったくのペーパレスで委員会に参加できるようになった。

また、院内の告知関係も、2002年春には『掲示板』での告知に統一する予定だという。以前は、総務課がパソコンで打って刷りだし、部署の数だけコピーした紙を、各部署が総務課まで取りに行って、現場に紙で張り出していた。そうした紙の告知も、最近は少しずつ『掲示板』に代替されて減りつつあるが、これを一気にペーパレス化するために、紙での回覧禁止という号令をかけるという。『掲示板』にある「薬事情報」は病院ならではの項目だろう。病院の薬剤科には、薬剤メーカーからの通知が毎日のように届く。内容は、そのメーカーの販売する薬剤の副作用情報や疾病への適用情報だから、すべて院内に周知徹底する必要がある重要情報だ。
「以前はこの通知はファックスで入ってきました。それを薬剤科では一度パソコンで打ち直してから、刷りだしてコピーを取り、院内各部署に配っていたんです。そのファックスを電子メールにしてくれとプロパー(薬剤メーカー)にお願いして、薬剤科のアドレスにメールで届くようにしました。薬剤科ではそのデータをアクロバットでPDF化して、『掲示板』の「薬事情報」に添付します。医師にはMacintosh派が多いので、ワードとかの文書ファイルにすると特殊文字が読めない。それでPDFファイルを標準にしています」(荻野主任)
部署ごとの「業務連絡」にも、メールや電話などではなく、『掲示板』が使われている。業務の引き継ぎ事項がいつでも簡単に一覧できる利点を考慮してのことだ。
「事務の省力化と並んで重要なのはこの業務連絡なんです。病院には200人を越える交代勤務職員がいますが、それが次から次へ1日2〜3交代で入れ替わっていきますから、その引き継ぎのための情報の伝達は欠かせない。といっても、日中に夜勤の人に伝達しようとしても、その時点ではなかなか伝わらないんですね。ですから、『掲示板』に伝達すべき情報を置いておいて、いつでも見られる環境にしておくことが絶対に必要なんです。それが結局は、事務の省力化にもつながります」(沖副院長)
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 『施設予約』で予約のトラブル解消。『スケジュール』では幹部の日程を確認
荻野主任は、規模の大きい総合病院は「コンビニ」のようなものだという。院内には、食堂もあれば売店もあるし、職員の宿泊施設から屋上庭園、お茶会や生け花教室が開ける和室までこまごまと何でも揃っている。病院内の会議ばかりだけでなく、患者や開業医の参加する会合まで催されることもあって、こうした施設の予約事務に関しては、以前から混乱が絶えなかったという。「以前は総務課に大学ノートが置いてありまして、会議室、和室などの予約を取りたい場合は、職員がそのノートに書き込みに来るんです。使用頻度が高いから、そのノートもすぐにボロボロになりましてね。一部消えていたりして、トラブルも多かったんです。何よりも、総務課に行って書き込むという作業自体が煩雑でした」(荻野主任)
サイボウズの『施設予約』を導入してからは、こうしたトラブルは一切なくなった。多数ある会議室、研修室や会議用のプロジェクターの貸し出しなどを登録して公開しただけで、あっという間に職員間に使い方が浸透したという。

『スケジュール』は、病院全体や部署ごとのイベント日程を確認すると共に、医師や事務部門の幹部の動向をチェックするために使われることが多いようだ。ただし、パソコンが1人1台になっている部署でも、一般のスタッフがこと細かに自分の予定を入力するケースは少ないという。一般企業の営業マンなどとは違って、あまり実用的ではないからだ。
「常勤の医師でも、若い人には、まだ書き込むほどの予定がありませんからね。下に行けば行くほど、その日の業務はあらかじめ大まかに決まっていますし、それも院内のどこというだけの話なんですよ。医師は全員がPHSを持たされていますから、どうしても所在が知りたい場合はPHSで呼び出せばいいんです。ただ、僕らのような院長、副院長クラスになると、外に出たり、出張に行くことも多いので、細かく日程を入力しています。下の医師は、そのスケジュールを確認して、いつなら院長がいるからこの日に報告しようなどと判断するんです」(沖副院長)
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 『文書管理』を使ってリハビリの予定表フォーマットまで作成する
サイボウズが正式に院内に導入されてから1年近くがたち、ある程度の手応えは得られた。現場にもかなり浸透して十分に活用可能だとわかったし、事務処理の経費節減にも貢献できるというメドがたってきた現在、沖副院長、荻野主任は、次の段階のサイボウズ利用法をあれこれ構想している。2001年12月に導入したのが『文書管理』と『回覧板』である。従来のサイボウズ Office パック 4 に加えて、個別に購入した。
「サイボウズはメンテナンス要らずなので、ついそれに甘んじていたら、ある時にエラーを出し始めたんです。驚いて調べたら、サーバーのディスクの一部が破損していました。もともとのサーバーは、沖先生の好意で古いパソコンをタダで使わせていただいていたもので、ハードディスクも2Gしかなかった。容量不足が怖くて、添付ファイルも1個だけに制限して使っていたんです。この古いサーバーが壊れたのを機にして、2001年11月には、ハードディスクも40G×3ある本格的なサーバーを購入しました。レイドを組んで、アパッチも入れ替えたので、動作も安定しましたし、自動で定期的なバックアップもとれる。それで前々から使いたいと思っていた『文書管理』『回覧板』を導入することになりました」(荻野主任)

『文書管理』の機能は、従来も沖副院長がカスタマイズしたフリーソフトでカバーされていたが、さほど使われていなかった。今後は、サイボウズの『文書管理』の中に委員会や各部署単位のフォルダを作って、職員間で日常的に共有する文書類は、すべてそこに保存する体制を作りたいという。部署内の文書をその部署の職員が参照できるばかりでなく、ほかの部署の文書も手軽に開いて見られるのも導入のポイントの1つだ。
「例えば、リハビリの予定表のフォーマットをエクセルで作りますね。それをいろんな部署で見ながら、その部署の立場から中身を書き込んでいくという作業があります。いまはWindowsの共有ファイルの機能を使っているんですが、この共有ファイルを現場で自由に使うには、やっぱりある程度の知識が必要になるんですね。何かの拍子にファイルが開かなくなったり、ちょっとしたトラブルでも現場はお手上げになってしまう。サイボウズはもう看護師レベルまで浸透していますから、そういうトラブルの心配もなく、安心して導入できるんです」(荻野主任)
看護師の業務関連で言えば、ワークシートを『文書管理』に保管する構想も有望だ。看護師のワークシートは、ある疾病に対する観察のポイント、異状があった場合の対応方法などを継時的にまとめた一種のマニュアルだが、看護計画が改善される度に、同じ疾病でも新しいワークシートを作成して、現場に周知徹底しなければならない。
「紙でこれをやっていた時代には、看護師さん全体にワークシートを周知するだけでも1カ月はかかっていました。現状は、個々の看護師さんにワークシートのコピーをフロッピーで渡しているんですが、サイボウズの『文書管理』にワークシートを保存しておけば、そういうムダな経費をかける必要もなくなる。周知徹底の期間も大幅に短縮できるのではと思います」(沖副院長)

『回覧板』を導入するのは、『掲示板』の限界を見極めたからでもある。
「何でも『掲示板』という使い方の弊害が少し出てきたんですよ。病院の場合には、『掲示板』で知らせてあるんだから、見なかったのは君の責任だというだけでは済まない情報があるんです。だから、本当に必ず見て欲しい、しかも緊急性のある告知は、『掲示板』に出すだけでなく、メールをしたり電話連絡をしたりしなければならない。『回覧板』を使えば、その辺をある程度は補えると思っています。ただ、各部署は1人1台の環境になっていないので、看護師や検査技師にピンポイントで伝えることができないという不便はある。その場合は、部署の責任者に対して『回覧板』を回すしかないでしょうね。ただ逆に、各部署から医師の先生方、事務局のスタッフにはピンポイントで『回覧板』を回せますから、それだけでも使うメリットは大きいと思います」(荻野主任)

一方、病院の幹部やシステム管理者側から見ても、従来の『掲示板』の機能には不満があった。『掲示板』で告知しただけでは、その告知が果たして間違いなく各部署に周知徹底されているかどうかがわからない。『回覧板』を使って、各部署から見た、見ないの反応が得られるのは、病院全体の機動的な運営という面でも大きな意味があるという。
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 いよいよスタートする電子カルテ事業に『プロジェクト管理』を活用したい
まだ決定ではないが、沖副院長が以前からぜひとも導入したいと考えているアプリケーションに『ワークフロー』がある。実のところ、院内でネットワーク利用が最も立ち遅れているのが事務局である。すべての文書を紙で残すという体質が抜けないために、パソコン設置の環境が比較的早く整備されたのにも関わらず、日常業務はまだまだ紙と判子の世界なのだ。
「僕は前々から『文書管理』よりも先に『ワークフロー』だと言っているんです。申請の紙がないと総務課に取りに行って、その紙に手書きで書き込んで、判子を押して回していく。大きなテーマだと、それを何度も稟議にかける。そんなのムダだと思うんですよ。判子を押すべき人には1人1台のパソコンがすでに配布されているんだから、パソコンで回せばいい。稟議も同じスタイルで十分。申請書をフォーマット登録して『ワークフロー』で回すだけでずっと事務の効率が良くなります」(沖副院長)

黒部市民病院では、2002年度からいよいよ電子カルテ事業に取り組む予定だが、病院の現場に電子カルテを導入するためには、膨大な量の打ち合わせが必要になってくる。先に看護師のワークシートについて触れたが、電子カルテを導入する前の準備として、こうした細かい仕事の手順を、すべての現場の部署で洗い直さなければならないのだ。
「電子カルテは、病院運営の根幹に関わる事業ですから、具体的に動き始めると、心配で眠れない日もあるかもしれませんね。導入の準備では、細かい部署の打ち合わせをやって、そこから上がってきたものを、全体の構成を考えながら打ち合わせるという繰り返しになると思います。病院の全職員が集まって話し合う機会は少ないですから、『プロジェクト管理』のようなツールの助けを借りて、個々の職員が全体を見渡しながら、議論を進める方法を考えています」(沖副院長)
サイボウズの『プロジェクト管理』は、プロジェクトの継承が手軽にできるため、従来の議論の進捗状況を引き継ぎ、新しい目標やタスクを設定して、議論を深化するのにも便利だ。設定しだいで、さまざまな部署の職員がお互いのプロジェクトの内容と進捗状況を把握できるので、個々の職員が全体の進捗を考慮に入れて議論を進められる。長く、細かい準備作業が続く中では、お互いに『プロジェクト管理』を参照して、刺激しあうという意味でのメリットも大きいだろう。
すでに、電子カルテ構築プロジェクトの中でシステムベンダーとの打ち合わせの議事録、提示資料などは、部門単位、プロジェクト単位に全て『文書管理』にPDFファイリングされており、職員のだれもがいつでも閲覧できる。
黒部市民病院の院内LANでやりとりされる情報は、あくまで医療には直接関係ない職員間の共有情報である。医療情報は基幹システムに任せるのが大原則だ。ただし、基幹システムが改造中の一時期、緊急避難的に『掲示板』に掲示されていたのが「空床状況」だった。405床あるベッドの空き状況を院内全体に知らせるもので、担当の看護部スタッフが毎日、基幹システムから出力したデータをエクセルファイルに打ち込み、HTMLファイルにしてサイボウズの『掲示板』に添付して更新していた。「実際にやってみると、こういう風にサイボウズを使うことも十分に可能だと思いましたね。基幹システムにはあまりお金をかけられない病院でも、病院内で、こうしたさまざまな情報を共有したいというニーズはたくさんあるのではないでしょうか。少し手間はかかりますが、空床状況ばかりでなく、手術スケジュールの情報共有などにも使えると思いますよ」(荻野主任)

一方、沖副院長が将来的に構想しているのは、開業医を含めた地域の医療情報ネットワークに、サイボウズを活用するというアイデアである。
「現在はうちのホームページも活用して、下新川地域医療ネットワークという試みを始めています。例えば、介護の必要な高齢者のいる家の位置を地図で示し、その主治医的な開業医は誰なのか、その家の高齢者はどういう介護が必要な状態なのかという情報を、ネットワークで共有しながら日々に更新していく。そんなシステムを作りたいという構想の下で、地元の医師会が買ったサーバーをうちの情報系システムの中に入れて、独自のホームページも作ってあります。開業医は高齢の方も多いので、なかなかネットワークに参加してもらえないんですが、情報を交換しあうだけでもいいから、まずやりましょうと。セキュリティの問題さえクリアできれば、このネットワークにサイボウズを入れて情報を共有することも考えられると思います」
医療の分野でも、グループウエア活用の可能性は大きいようだ。開業医がノートパソコンの『掲示板』で地域の医療情報をチェックする時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。



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